気ままなドライブ

やっと一人に戻ることができた私は、
気ままなドライブへ繰り出した。

道は海沿い。
ひたすらまっすぐ進む。

途中、山越えの道を発見し、
一つの山を越えることを目指す。
山といっても小高い丘程度で、日本の地形には遠く及ばない。

街を離れると本当に普段みられない物がみることができる。

途中には未だ舗装されていない道があったりもする。
山を一つ越えると、そこには、また新たな一面があった。
昔ながらの漁業で生活を立てる人たちが暮らしていた。
牛舎に荷物をのっけて進むおじさんを見つけた。
山羊が放牧されていた。

そこには、自然と共存し、暮らしている人たちの姿があった。

しかし、その横をものすごいスピードで長距離バスが駆け抜けていった。
ベトナムには、中央を横断する鉄道以外に、
長距離を移動する手段はバスしかない。

そして、南部は比較的富んでいるし、
中国と接するハノイもまだましらしい。
しかし、中部になると貧しい家庭が未だたくさんあるようだ。

アユタヤの列車でも、バンコクに出稼ぎに出かけると思われる人を多く見かけることができたが、
それはこの国でもおなじなのだろう。
貧富の差は、人の移動を生じさせる。

未だ、この国は上昇気流にあるとはいえ、発展途上国なのである。
まだ、試練の時期は続くのだろうか。

ふと、そんなことを考えながらバイクは風を切って進む。
私はこの場所に短期滞在し、疲れをいやすだけでいい。
しかし、この国に生まれ暮らしていかなければいけない人には、自然のすばらしさを到底理解できないのだろう。

私は、この瞬間にここにいることができる幸福をかみしめながら、
バイクをUターンさせた。

体をだんだん旅の疲れがむしばんでいる。
一端、ホテルに戻った私は、しばし南国での昼寝を楽しむのであった。