朝日

ニャチャンの朝日は美しいという。

前日、あまりの疲れで22:00に就寝してしまった私は、朝の寒さで午前5時半頃、目が覚めた。
二度寝しようとも思ったが、早起きは三文の得という。
私は一念発起し、早起きして朝日を見に行くことにした。

驚いたことに、朝6時ごろであるにもかかわらず、海には多くの人がいる。
散歩をする人、バトミントンをする人、瞑想する人、
そして、なぜか小学校の学生らしき団体が、馬跳びの練習をクラスでやっている。
ニャチャンの波は高い。
はっきり言って、海水浴の海としては適していない。
なのに、なぜか朝6時、日が昇る前に泳いでいる人がいる。
見るからに。寒い。気温もそんなに高くない。
ベトナムという国は不思議な国である。

私はなぜ、ニャチャンの朝日がきれいなのか、理解していなかった。
波の音に揺られながら、ぼーっと海を眺め続ける。
時にカメラのシャッターを切りながら。

空がだんだん明るくなってくる。
しかし、日は全く見えない。
空は軽く曇り空であった。
朝焼けに染まる空を見ながら、私はつぶやいていた。
「なんだ。たいしたことないじゃないか。」

ニャチャンの海には多くの島がある。
そこに人は住んでおらず、いても漁民ぐらいのようだが、
それぞれ格好のダイビングスポットを持つようだ。

ふと気づくと、一つの島の後ろが急に明るくなっている。
太陽のショーのはじまりであった。

島の後ろからゆったりと日があがり始める。
"光が差す"とはこのことを言うのであろうか。
ほんの10分間ぐらいであったと思う。
本当にスローモーションのように、太陽が上がる様がくっきり目に焼き付く。

私は、ふと涙を流していた。
あまりに日本に似た風景に急に故郷を懐かしんだからなのか。
それとも、自然という力の大きさに圧倒されたからなのか。
理由はわからなかった。
ただ、ふと私の頬を涙がつたっていた。