オランダへ向かう

ドミトリーで目が覚める。
関学の同級生はまだ眠りの中だった。
相変わらず、緊張しているのか眠りは浅い。
普段なら、朝、起きること自体がおっくうなのだが、旅行中は朝に強い男になってしまっている。
やっぱり小心者なのかな。笑

オランダに向かうため、パリで言う新幹線にあたる、国家間高速移動列車。
英語で言うと、インターナショナルトレイン。TGVに乗車する。
かなり、パリの地下鉄にも慣れてきている。
列車の発着駅までの移動はスムーズだった。

パリには3つの大きな駅がある。
Gare de Nord (北駅)
Gare de Est (東駅)
Gare de Lyon (リヨン駅)
である。
オランダ便は、北駅発着だった。

駅に到着したが、国際列車に乗車するのが初めてなため、とてもどきどきしていた。
絶対に遅れたくなかったので、かなり早くホステルを出ていた。
出発時刻にはまだかなりの余裕があった。

とりあえず、あまりに重たいバックパックをおろし、
日本から持参したワイヤーで固定する。
これで、しばらく放置しておいても誰にも盗まれる心配がない。
貴重品は常にセカンドバックに入れて、携帯するようにしている。

朝ご飯を食べていなかったので、買いに行く。
日本の駅に弁当屋があるように、フランスではサンドイッチやさんやパン屋が軒を連ねている。
コーヒーショップも兼ねており、熱いエスプレッソで目を覚ますおじさんがたばこをふかしながらおしゃべりをしている。
わたしは、昼食用にサンドイッチと水を購入し、ホットドッグはその場で口に詰め込んだ。

いよいよ、乗車の時間にさしかかる。
TGVが並ぶ中、乗車ホームが掲示板に表示される。
ヨーロッパの掲示板は電光ではない。あの昔からある、パタパタいうやつだ。
表示されたホームに向かい、自らの乗る車両を探す。

それにしても・・・・。
遠い。
2等車両なため、奥の方の車両に位置している。
そして・・・20車両もある。
とてつもなく長い。

途中で駅員さんに確認を取りながら、やっと予約席を発見。
バックパックを片づけて、着席。
ヨーロッパの電車は、日本みたいに全員が一定方向を向く座席形態ではなく、
向かい合う座席、一方を向いている座席形態になっている。
わたしは向かい合う形態の座席だった。

旅のお供はフランス人の親子だった。
二人とも、多少の英語ができるようで久々に簡単な会話をした。
フランスの男の子、多分、中学生ぐらいだと思うんだけど、数学の宿題をやっていて、
俺もチャレンジしてみた。
10のマイナス乗の分数のかけ算の問題で、俺も解いてみたのだけど、
彼はとっても怪訝そうな顔をしていた。
やっぱり俺の方があほか!?
とりあえず、彼は所持品もバイオリンだったし、パソコンあけたと思ったら、プログラミングを始めるし・・・。
で、頭の良さが尋常じゃなかった。
ママはすごいいい人で、オレンジと、バナナを分けてくれた。
フルーツを食べる機会の減っていたわたしにとっては非常にありがたかった。

疲れがたまってきているのか、車中はうつらうつらしていた。
TGVで驚いたのは、アナウンスする車掌の語学力だった。
車内放送何カ国語!?
フランス語、オランダ語(ダッチ)、ドイツ語、英語、時にはこれにスペインが入ることもあるとな・・・。
ヨーロッパ末恐るべし。
こんな環境に居れば、語学を勉強するモチベーションもわくのだろうと、感じずにはいられなかった。

列車は刻々とアムステルダムに進んでいく。