飛行機の中で

バンコクからベトナムまでたったの1時間半のフライトで到着する。
そんな中、たまたまお隣さんが話しかけてきた。

女性で年はうちのおかんぐらいやと思われる。
おきまりのように「Where Do You Come From?」
と聞かれ、世間話が始まった。

彼女は現在、オーストラリアに在住している。
今回、ベトナムで働いているだんなさんに会いに行くため、この便に乗っているそうだ。
そして、彼女は"越僑"であった。

越僑とは、ベトナム戦争時に資本主義であった、南ベトナムに在住しており、
戦火を逃れるため海外に脱出し、そこで暮らしを営んでいる人たちのことを指す。
華僑のベトナム版だと思って頂ければ良い。

なぜ、だんなに会いに行くの?
と、聞いていたら、彼女はこうこたえていた。
「今のベトナムの経済状況は本当に貧困で、暮らしに困っている人はたくさんいる。
 その中で、経済力のある男が女を囲うことが日常茶飯事になっているのよ。
 だから、私が定期的にチェックしに行かないと、だんなが何するかわかんないでしょ!」

と、言っていた。
ベトナム女性の怖さをまざまざと見せつけられた気がした。

ベトナムの女は、怖いという。
これに関する話は、ガイドブックにすら掲載してある。
ベトナム戦争で、多くの男が戦死してしまったなか、女性が戦争復興の中で多様な活躍を魅せていることも一因らしい。