「思い立ったが吉日」

私はこのことわざが好きである。

ある本で読んだ話であるが、
人の後悔は、できなかったことに後悔は生まれないそうだ。
むしろ、やらなかったことに対して後悔は生まれる。

甲子園で球児たちが号泣するのも、
負けたことに対して悔しがっているのではない。
もう少しでも、もっと練習していれば勝てたかもしれないから、悔しがるのである。

しかし、何も知らずに行くのもこれまた"無謀"というものである。
優良なビジネスパーソンたるもの、PDCAを繰り返し、情報を収集し、実行可能か検討しなければならない。


本当に実行可能かどうか、いろんな人に聞いてみることにしたのであった。
(実際やったことは、こんなこと)

その一人が、中国インターン中にお世話になった社長さんである。
この人は、望郷に訣別し、世界を飛び回る、凄腕のビジネスマン。

そうしたら、即、「私ならこういく!」プランを提示してくれた。
何より、"ロシアをシベリア鉄道で横断せよ!"
というのが非常に気に入った。
空路ではなく、陸路で横断するのである。

しかも、社長のプランにおいては、総経費が30万くらい・・・。

私は根が単純である。
急に、行ける気がしてきたのである。

社長の温かい心遣いに感謝するとともに、自らの出会いの幸運をこれほど感じたことはなかった。


世界旅行に至るまで 明確な目的をもって調べものをすると、多くの情報が飛び込んでくる。

探せば、世界一周の資料がたくさん出てきた。
中でも、アマゾンで見つけた、「世界一周貧乏旅行」という本が目を引いた。

しかも、この本は私の当初考えるルートとほぼ同じルートをたどっていたのである。
モンゴルからロシアへ抜け、オランダからロンドン、ロンドンからアメリカに入り、陸路で横断する。

内容を読んでいると、旅行者は非常に旅慣れた人であることがよくわかった。
オランダに入ってから、6人分のロンドン発の格安チケットを、自力で注文するなどしている。

・・・自分にこのような作業ができるのだろうか?

そして、もう一つ。
確実に旅行をお供していただけるパートナーが見つかりそうもないのである。
親しい友人に話をしても、一笑。

これを考えている時点ですでに11月であった。

結果は、どんどん難しい方向に話しが進んでいく。

卒業論文を終えてすぐ出発するとしても、日数が50日ほどしかなくなってくること。
そして引っ越しや、謝恩会などが重なり意外と、旅行の日にちがとれないこと。
ロシアでテロがおきたこと。
シベリア鉄道に1週間、雪の中を一人で走り続ける気力に自信がないこと。

社長と師匠には本当に申し訳ないが、
ぶっちゃけ、びびったのである。8「すでに、たくさんの人に、世界一周したいって言っちゃったなぁ」

思い立ったことはすぐに話をしてしまう性分。
すでに、周りには応援していただける声もあった。

「後悔は、やらなかったことに対して生まれる」

この期を逃せば次にできるチャンスは来るかどうかわからない。

唯一の問題は一つ。

お金である。

空路で旅行する場合はお金がかかる。

要はは融資先を説得できるか否か!!


ここは、もう寛大で雄大で偉大な親父に感謝。

僕の好奇心と勉強意欲を後押ししてくれたのである。


大学を一年留年したり、休学して語学留学したりするのと変わらないぐらい資金が必要である。


しかし、親父はそこへ俺を送り込むことをむしろ、喜んでいるようでもあった。


これもどこかで読んだ言葉だと思うが、
「親が何よりも喜ぶのは、金持ちになることでも、賞をとることでも、社会的に偉くなることでもない。
 こどもが成長していく姿である。

と、納得するにいたった。