バイタクの運ちゃん

戦争博物館を出た私は、昼食のポイントを探す。
ガイドブックに美味そうなレストランを発見。
目星をつけることに。

どうやら、ここからたいした距離ではないらしい。
さっきからつきまとってきたバイタクの運ちゃんに交渉し、
4000ドンで交渉を着ける。

目的地で降りたあと、
「ここでまってようか?」
と、運ちゃんに言われたがもちろん断った。
フランス様式の建物である、教会と郵便局を眺めたあと、
レストランに向かう。まだ、10時半を回ったころのことであった。

レストランに着く。が、まだ開店してないという。
12時に開くのでもう一度、ご来店頂きたいということだった。
にーちゃんがいいやつで、出口でもう一度呼び止められた。
席をリザーブしておいてくれるという。
混んだらやだなぁ・・・。そう思ったので、お願いすることにした。

しかし、腹が減ってしょうがない。
道ばたで、座り込んでスープを売っている人を発見。
なんだかわからんが、とりあえずそれを食う。
ちょっとしょうがが聞いていてなかなか美味い。
もちろん、ちょっと値切った。
日本人だとわかるとふっかけてくる。
食べてると、中国人のおばちゃんに話しかけられて、
答える。と・・・日本語でいきなり返された。
いやな記憶が・・・よみがえるがおばさんはさっていった。
なんだったんだろう?

とりあえず、広場のHSBCの前まで移動し、作戦を練る。
また、バイタクの運ちゃんがよってきた。
しかもちょっとしつこい。完全無視して、あっちへ行けとしぐさをすると、
ちょっといらいらした顔で去っていった。
もう一人、また話かけてきた。
かんなりむかついたので、強い口調で「Get Out!」というと、
「I must apologize you.」と話かけてきた。

そいつは、延々とプレゼンテーションしてきた。
まず、ベトナムの人があなたが怒るようにしつこく声をかけてくる。
が、それはそれしか生活の糧を持っていないからだということ。
どうかおこんらないでほしいと彼は言う。
そして、わたしとツアーをくむことができるならば、あなたが行けないようなところにも連れて行くという。
借り切ってUS20ドルでいい。それ以上のお金は取らない。
他の日本人は英語がわからないが、あなたは英語を理解することができる。
それなら、わたしのガイドはおもしろいものになることを保証する。
ガイドを借りきっても普通、一日20ドルはかかるから、交通代も込みでこの値段はお得だろう・・・。

と。
たいしたプレゼンテーションだな。と思った。
ベトナム人のバイタクでこんなに知性を見たのは久々だった。
英語しゃべれるなんて思いもよらんかった。
目を見ても、どうやらそんなに悪いやつではないらしい。
うーん。当たるも八卦当たらぬも八卦
午後の予定を決めかねていたわたしは彼に命運をゆだねることにした。
昼飯の予約があることを告げると、とりあえず、一カ所連れて行く、時間があると彼は言う。
よし。行くか。
日本の若い一人旅行者と、ベトナムバイタクの二人旅。会話は英語。
二人ともノーヘル。
楽しい旅の始まりだった.