傷だらけの銀行

コレクティーボにのって街をゆく。
街で一番にぎやかな大通りに私たちは向かった。

大通りで見たのは、たくさん落書きされた銀行だった。
特にシティバンクなんか、一回の壁は完全に鉄で固められている。
他の銀行も同じようにされていた。
わたしも先輩に言われるまで気づかず・・・。
落書きの内容は
"詐欺"とか、"うそつき"とか"金返せ"とかだそうだ。
アルゼンチンで通貨危機が起きたとき、銀行は預貯金をドルで支払いせず、
ペソでの支払いを続けた。
その結果、国民はみるみるうちに自らの資産が減っていくのを黙ってみているしかなかったのだ。
今でも、国民はその過去を恨みとして、銀行に持っているのだそうだ。
だから、銀行は一階を固める。ガラスをぶち破られてお金を盗まれないようにするためである。
たしかに、壁には何かで殴ったような後があった。